実用的な物として作ってみました。
　主にキャンプなど野外活動のときに使用される着火器具です。
　素材は、火花を受けるための火縄として金剛打綿ロープを使っています。使用方法は、まずそのままでは火花を受けても着火しませんので、あらかじめ先端をライター等で炭化させ、通している竹をスライドさせて指で塞いで消火しておきます。
決して水に浸して消さないで下さい。うっかり水の中に落してしまった場合は、乾かして下さい。
　使用時には通している竹を摘まんで、ロープを捩じりながら押し出します。
　火打石はメノウ石ですが、石英でも代用できます。使っているうちに角が取れて丸くなるので、その時は金づちで叩いて角を出す必要があります。

　 火打金の素材は高炭素鋼を使って鍛造しております。錆びやすいのが欠点です。
使い方は火打石に火縄の炭化部分を乗せて握り、火打金を下に向かって石の角に掠るように強く打ち下ろして火花を発生させて着火する使い方になります。反対に、石を火打金に掠るようにように打ち下ろすと、火花は下に向かって飛びます。
　火縄に火が付いたら、ティッシュペーパーを丸めて火縄の火を当てて息を吹きかけていくと小さい炎が出て燃え広がりますので、新聞紙でティッシュを包み込んでおくほうがよろしいです。

　注意事項。火打ちをするときは軍手などの着用をお勧めします。うち外して火打金で怪我をするのと、メノウ石の角が鋭いため手に怪我をしてしまわないためです。
　また、無いことを祈りますが可燃性のガスが充満していると思われる場所ではやらないでください。爆発事故につながります。
　また小さなお子様の手の届かない場所に保管してください。

　これを制作するにあたっての技法は、必要な幅と長さに鋼板を切り、真っ赤に焼いてハンマーで打ち延べて形成し、焼き入れと焼き戻しをしただけの簡単な技法です。

　使い方の提案として、キャンプのほかに理科の着火実験にも使えます。また、御神前の神事など。すり減った後の火打金をナイフにされても結構です。

　あまりにも原始的で扱いづらい着火法ですが、慣れてコツをつかめば簡単に火が付くようになっていきます。今回は火縄ですが、綿シャツ、たとえば着古して捨てるまで薄くなったTシャツの生地などを切り裂いて、蓋に穴をあけた空き缶に詰めて焚き火などで焼き、炭化させたチャークロスを使うのも手です。

　私の想いとして、今の時代は大変便利な世の中です。ですが、想像もつかないような災害が起きてしまったとき、それはもろく崩れ去るでしょう。平穏無事な時にはキャンプ以外は役には立たないがその時に役立つものと信じています。生き延びる術を1つでも持っていて欲しい願いでもあります。

　作品のポイントは、非常にシンプルそのもの、ということです。この熱処理された鋼板一枚で、それよりも硬い石があれば火が起こせる、という一点です。

　最後にお直しとパーツ変更の可否についてです。
　基本的に制作ミスでヒビがあったときは、交換いたします。
パーツ変更について火打金以外は可です。
また、火打金のデザインを，在庫の鋼材などの都合で変更する場合もございます。